YANO PEOPLE
ローリ技術部
航空機給油車という、特殊な設計分野
矢野特殊自動車では、石油や化学薬品、食用油などを運ぶタンクローリの製造も行っていますが、その中でも特殊性が高いのが「航空機給油車」です。見た目は一般的なタンクローリと大きく変わりませんが、航空機に安全に燃料を供給するため、高い信頼性と精度が求められます。国内で手がけている会社は2社のみで、その航空機給油車の設計が私の仕事です。
工業高校時代は、溶接や組立ての実習が好きでした。実家から通えて、ものづくりに携わりながら手に職をつけられる仕事がしたいと考え、工場見学に参加しました。そのときに初めて「架装」という世界を知り、「こんなにおもしろい会社が地元にあるんだ」と感じたことが、入社を決めたきっかけです。
航空機給油車設計の難しさ
入社時は、当然のように現場で手を動かし、溶接や組立てを行うものだと思っていました。しかし配属されたのは、航空機給油車の設計部署。パソコンも得意ではなく、入社当初は年の近い先輩もおらず、当時は厳しいことで有名だった部長とマンツーマンでの“ゼロスタート”でした。
航空機給油車の設計は、他の特装車と比べても構造が非常に複雑で、一人前になるまでに10年かかると後から聞きました。あまりにも難しく、「なぜ自分が担当することになったのか」と戸惑ったのを覚えています。それからは、まさに修行の日々でした。電気、油圧、空気圧など、特装車の中でも難易度の高い要素が多く、それらをどう図面に落とし込むかを考えながら、日々向き合っていました。
設計に正解はない
航空機給油車はオーダーメイドのため、同じ車両は一台としてありません。営業担当がまとめたお客さまの要望を反映した仕様書をもとに設計し、製造部に指示を出します。技術的な内容については、直接お客さまとやり取りすることも多くあります。 私が一人で全ての図面を任されるようになったのは、入社して6年ほど経ってからです。自分が描いた図面が形となり、一台の車として完成した瞬間は、それまでの苦労が一気に報われるような、大きな達成感がありました。
設計では、製造のしやすさやコストのことも考える必要があります。そのため悩む時間はどうしても多くなりますが、考え抜いた結果が、お客さまに喜んでもらえる給油車につながると信じています。
現場で生まれた設計の工夫
これまでに約170台を手がけ、27カ所の空港を訪問してきました。印象に残っているのは、青森空港で使用する給油車を担当したときのことです。雪国ならではの使い方を想定して設計していましたが、納車時には想像を超える大雪に見舞われました。
タンクに登るための階段に雪が積もり、安全面に課題が出たため、お客さまと相談しながら、階段部分を網状にし、ヒーターを取り付けることで雪が溶けて落ちる構造を提案しました。実際に現場へ行かなければ分からなかった経験であり、設計の仕事は机の上だけでは完結しないと強く感じた出来事です。
お客さまと向き合う設計
航空機給油車を手がけている会社は国内で2社しかなく、設計士の数も日本で数人という世界です。昨年10月にはフランスとドイツの提携会社を視察し、海外エンジニアの効率を重視した考え方にも刺激を受けました。オーダーメイドにも限界があるため、オプションを増やすなど、新しい方法も模索しています。
矢野特殊自動車の良さは、お客さまとの距離が非常に近いことだと思います。関西国際空港で部品の不具合が発生した際には、何週間も現地に泊まり込み、原因を探ったこともありました。精神的には大変でしたが、お客さまと一緒に原因を追究する中で、強い信頼関係を築くことができました。 そのときにいただいた「仕事は心と心でやるものだ」という言葉は、今でも胸に残っています。
Message これから矢野特殊自動車を目指す人へ

